教師会から

教師会から

農村伝道神学校入学を志す人たちへ

農村伝道神学校教師会

◇里山の豊かな自然の中で

農村伝道神学校(以下、農伝)は、町田市野津田に位置する里山の中にあります。とても貴重で豊かな自然に囲まれた環境です。2007年に多くの方々のご協力を得て、新校舎(ストーン記念館)を完成することができました。新校舎は中庭を囲む平屋建てで、周囲の樹木にとても良くとけ込んだ建物になっています。里山の豊かな自然に囲まれながら、伝道者への研鑽を積む環境が整えられています。
 一万五千坪の校内敷地には、実習農場、地域に開かれた家庭菜園、竹林、栗林があり、ぎんなん、サツマイモ、栗、竹の子など、四季折々の自然の恵みを味わいながら、大地と共に生きる学生生活を送ることができます。
10月には農伝デー(オープンキャンパス)がありますから、ぜひ足を運んでいただきたいと思います。また、随時学校見学を受け入れています。農伝の神学教育について直接お話することができますし、授業を聴講することもできます。

◇カリキュラム改定

2016年度よりカリキュラムを改定し、最初の2年間は神学基礎コースとします。旧新約聖書概論やキリスト教史、また解放講座(解放の神学に基づく実践神学)や聖書、語学などを履修することができます。この2年間で修了とすることもできます。
基礎コース修了後、神学専門コースに進むことができます。神学専門コースには教会担任教師としての働きを担う教職者養成コースと、牧師にはならないが牧師と協力しつつ信徒として教会の宣教の働きに従事する信徒宣教者養成コースがあります。
教職者養成コースは2年間ですが、信徒宣教者養成コースは1年間のコースと2年間のコースのどちらかを選択できます。また、それぞれのコースの中途でコースを変更することも可能です。
教師はもちろん、農伝の神学教育の方向性に共感する多くの講師陣によって、各分野の専門性を追究する充実した授業内容を期待することができます。

◇農伝における神学教育のヴィジョン

農伝は、以下のような明確なヴィジョンと方向性を持って神学教育を考え、宣教者の養成をおこなっています。

1.「農」にこだわる —現場の神学—
農伝は農村・地方教会に仕える伝道者の養成を行います。
それは、農村という現場における宣教を見据えての神学教育です。農村を含む地域社会、そこにある教会との対話の中で、現場の問題や課題を共有しながら神学教育を行います。さまざまな神学の営みと対話しながら、それを問い直し、聖書を読み直し、教会を変革して行く力は現場にあると考えています。
「農」へのこだわりは、農村という現場と農業へのこだわりですが、そのこだわりを通してこそ、都市化が生み出す貧困や差別や人権の抑圧など、様々な問題に向き合う姿勢が問われていくことになります。
農伝は、この「農」にこだわりながら、諸問題を抱える現場を宣教の場としてとらえ、人間が生きる固有の現場から離れずに、教会の宣教を考える神学教育をおこないます。

2.戦争責任を担う
農伝は「中央農村教化研究所」として創立されました。「教化」という言葉は、戦争で疲弊した農村をキリスト教化することで復興しようとする宣教論があったことを物語っています。
そのような宣教論に意味や必然性がなかったとは言えないとしても、侵略戦争でアジア・太平洋地域の農村を破壊した戦争責任を明確に認識する姿勢があったかどうか、真摯に問われなければなりません。
農伝は、自らの歴史を批判的に見据えながら、アジア・太平洋地域の人々と教会に対して、戦前・戦中・戦後の責任を告白し、その告白を実質化する神学教育をおこないます。
農伝は、自らの戦争責任の認識が希薄であったことを深く反省し、沖縄の人々と教会、かつて日本が植民地としたアジアの人々と教会との対話の中で、神学教育をおこなって行きます。

3.いのちと共生に向き合う
農伝のカリキュラムの中では、様々な実習が大きな割合を占めています。現在は毎週金曜日の午後、二年間の必修科目である農業実習、毎週日曜日の教会実習、主に夏期実習としておこなわれる社会実習、台湾の玉山神学院との協力でおこなわれる台湾実習などがあります。
実習は、「農」にこだわる中で現場と出会い、そこにある諸課題と対話しつつおこなわれる農伝の神学教育の重要なカリキュラムとして位置づけられています。
実習はまた、すべてのいのちを敬い、一つ一つのいのちに寄り添う心を養うことです。様々な実習を通して、柔軟で開かれた姿勢を育て、多様性を重んじて共に生きる生活の視点に立って、教会の宣教を考える神学教育を行うことがねらいです。
農村伝道神学校入学を志す人たちが、一人でも多く興され、宣教の課題を広く担って、イエスの後に従う道を共に歩んで参りたいと祈り願っております。