科目要項

2023年度科目要項

【単 位 の 履 修 に つ い て】(3月22日版)

履修について

新入生は2年間(2年編入の場合は1年間)の神学基礎コースを開始することになります。神学基礎コース修了後、神学専門信徒宣教者養成コース、または神学専門教職者養成コースに進むことができます。神学基礎コースで選択だった科目が、神学専門のコースで必修となっていることもあります。お確かめください。
なお、卒業要件単位数は、卒業に必要な単位の最少限を示したものですから、これだけ履修すれば十分という意味ではありません。各自の関心や課題に基づいて、積極的に科目を履修してください。

寿現場学習について

神学専門コースの必修科目でもあるため、3、4年生を優先としますが、神学基礎 コースの2年生でも履修可能となります。 実習を受け入れてくださる寿地区センターの事情により、履修者は6人までとして います。時間は毎週金曜日午前 8 時〜15 時です。なお、交通費は寿地区センターから 支給されるものを差し引いた額を学校と履修者が折半で分担することになります。

農業実習・農村伝道論について

農業実習ⅠとⅡは神学校の農場での履修となります。新入生はⅠは必修、Ⅱは選択になっています。農業実習Ⅲは選択科目として、栃木県西那須野にあるアジア学院にて8月末〜9月末の約3週間集中して行なうことができます。詳しくは科目要項をご覧ください。

コミュニティーワークと黙想について

コミュニティーワークは第2火曜日2限目です。それぞれ分かれての作業をします。ボランタリーに携わる経験を通して「共同体の一員であること」について学習してもらうためにあえて単位にはしてありませんが、校地整備のためにも、全員の参加にご協力ください。
今年度の黙想は木曜日5限目です。新入生は必修です。それ以外の学生は選択です。また履修届けを出さずに参加することも自由とします。

履修対象学年について

講師名の次に記された(  )内の数字が履修対象学年です。

 

 

農村伝道神学校教師会

 

 

 

※科目要項をクリックすると内容を閲覧できます。

1.聖書神学/旧約聖書概論
旧約聖書概論(4単位) 高柳 富夫(1〜4)

<講義の概略>

この授業の目的は、「旧約聖書とは何か」、旧約聖書を生み出した「イスラエルとは何か」を追究することにあります。そのために、旧約聖書の歴史的研究、考古学的研究、文学批評、聖書神学を総合的に考察し、旧約聖書を歴史的・批判的に読むことに取り組みます。
旧約聖書の信仰思想は歴史と切り離して、無時間的に扱うことはできません。
古代イスラエル史、すなわちイスラエルの決定的始まりである出エジプト時代(前12~13世紀)からマカベア時代(前2世紀)のユダヤ教後期における文学に至るまでを視野の中に収めて考察します。
教科書としてB. W. アンダーソン著『旧約聖書』―物語られた歴史-新教出版社、2023年を用います。この書は、古代イスラエルの信仰を理解する最良の方法として、物語と歴史の相互に関連し合う側面を考察しています。旧約聖書を構成している諸伝承の歴史と、現在私たちが手にしている聖書の最終的な文学様式との相互の関連を考察するものです。
旧約聖書の言葉が、現代の「生」に対して投げかけている問いを受け止め、世界と人生の意味について差し掛けている光に照らされる経験を共有していきたいと思います。
受講者は、一年を通じて旧約聖書全体に親しみ、よく読み、各部分と共に全体を理解・把握するよう心掛けてください。教科書としては上記のものを用いますが、聖書そのものを読むことに代わるものはありません。

教科書

・「新共同訳聖書」日本聖書協会
・B. W. アンダーソン著『旧約聖書』-物語られた歴史-高柳富夫訳、
新教出版社、2023年。(訳者割2割引で購入できます。)


参考書

・並木浩一・荒井章三編「旧約聖書を学ぶ人のために」世界思想社、2012年
・W・H・シュミット著、木幡藤子訳「旧約聖書入門 上・下」教文館1994、2003年
・木田献一著「旧約聖書の概説」リトン、1995年
・石田友雄、木田献一他著「総説旧約聖書」日本基督教団出版局、1984年
・その他、授業の中で適宜紹介する。

2.聖書神学/新約聖書概論
新約聖書概論(4単位) 原口 尚彰 (1~4)

<講義の概略>

新約聖書学全体への導入として、前期は時代史的背景(政治史、文化史)、福音書・書簡文学の研究法、イエスの生涯、初代教会史について学んだ後に、4つの福音書の成立年代・場所と文学的・神学的特色についての理解を目指す。後期は新約書簡各書について、成立の背景と文学的・神学的特色について学ぶ。

<教科書>

原口尚彰『新約聖書概説』教文館、2020年(オンデマンド版)

<参考書>

G・タイセン(大貫隆訳)『新約聖書ー歴史・文学・宗教ー』教文館、2003年
荒井献他『総説 新約聖書』、日本基督教団出版局、1981年
大貫隆・山内眞監修 『新版 総説新約聖書』、日本基督教団出版局、2003年

聖書神学/旧約聖書釈義
旧約聖書釈義(4単位) 高柳 富夫(2〜4 旧約概論既習者)

<講義の概略>

創世記1章から11章までの釈義を通して、釈義とは何か、釈義の方法と実際を学習することを目的とします。ヘブライ語本文の釈義をできる限り細密におこないますので、ヘブライ語文法履修者、および現在履修中の者を対象とします。
通時的研究(様式史、伝承史、編集史)と共時的研究(文学的構造分析や修辞論的研究)の総合を視野に入れながら、原初史の主題とその神学的意味を考察します。
釈義と黙想を経て、釈義者各自の状況(現場)からどのようなメッセージを聴き取りまた語るのかに至るまで、ディスカッションすることを大切に進めます。後期は毎回履修者に順番に釈義の発表を課します。七十人訳、ウルガタ、各種近代語訳、各種日本語訳など、履修者が用いる事のできるテキストを駆使して釈義を行い、学習成果を分かち合います。
出席と授業への参加度(発表、質問、意見表明など)を重視します。

<成績評価>

出席を重視する。学年末に釈義と説教のレポートを課する。

<教科書>

Biblia Hebraica Stuttgartensia(必要箇所のコピーを配布する)
『聖書』新共同訳(日本聖書協会)
『創世記』旧約聖書翻訳委員会訳(岩波書店)

<参考書>

『創世記』月本昭男著(日本基督教団出版局)
『新しい創造の神学』B.W.アンダーソン著 高柳富夫訳(教文館)
『いま、聖書を読む』高柳富夫著(梨の木舎)
『旧約聖書』-物語られた歴史- B.W.アンダーソン著 高柳富夫訳(新教出版社)
その他、授業の過程で適宜指示する。

聖書神学/新約聖書釈義
新約聖書釈義(4単位) 原口 尚彰 (2〜4 新約概論既習者)

<講義の概略>

新約聖書解釈の方法を学び、自分の力で新約聖書箇所の釈義を行う力を養成することをこの授業は目指している。講義の最初の数回は新約釈義の方法論の解説を行う。次に教師が共観福音書の数カ所について釈義の手本を示した後、受講者が分担して実際に釈義を行い、クラスで発表する。後期は新約書簡の釈義の練習を行う。

<参考書>

原口尚彰『新約聖書釈義入門』教文館、2006年
Nestle-Aland, Novum Testamentum Graece, 28. revidierte Auflage; Stuttgart: Deutsche Bibelgesellschaft, 2012.
<参考文献>
G・D・フィー(永田竹司訳)『新約聖書の釈義』 教文館、1998年
浅野淳博他『新約聖書解釈の手引き』日本キリスト教団出版局、2016年

聖書神学/旧約聖書神学
旧約聖書神学(4単位) 金井 美彦(1~4)

<講義の概略>

旧約聖書における「神」理解の展開を跡付けることを課題とする。
旧約聖書は古代イスラエル民族の歴史の中で次第に形成されたのだが、現にある本文は多彩な文学作品の集成である。そのため神理解を歴史的にたどることはかなり難しい。そこで前期では、モーセ五書の主要なまとまり、すなわち原初史、先祖の物語、モーセと出エジプト、シナイ契約、神聖法典、申命記における神理解を整理する。後期は、主に申命記的歴史における神の機能、捕囚前および捕囚後の預言書における神理解、さらにヘレニズム時代の神理解を検討したい。そのうえで神理解の全体像を示してみたい。

<教科書>

『聖書』
BHS

<参考書>

G.フォン・ラート『旧約聖書神学Ⅰ』『旧約聖書神学Ⅱ』日本基督教団出版局、1982年
W・ツィンマリ『旧約聖書神学要項』日本基督教団出版局、2000年
木田献一『旧約聖書の中心』新教出版社、1989年
山我哲男『一神教の起源』筑摩書房、2013年
その他は授業中に指示する。

聖書神学/新約聖書神学
新約聖書神学(4単位) 安田 真由子(1〜4)

<講義の概略>

本講義のねらいは、新約聖書の主要な文書についての基礎的な知識を身につけ、それぞれの文書で扱われる神学的諸テーマについて批判的な考察を深めることである。そのために、まず新約神学とは何であり、どのように行うのか(聖書学的方法論)を概観する。そして、新約聖書の各文書について、その執筆時期、場所、想定される資料、時代的/社会的/文化的文脈を学んだ上で、それぞれの文書の主要な神学的テーマを掘り下げる。前期は福音書と使徒言行録、黙示録、後期はパウロ書簡を取り上げる。神学的諸テーマにはキリスト論や救済論、終末論などが含まれるが、それぞれに関する伝統的な見解だけでなく、今日的課題に根差した批判をも吟味する。授業形態としては、講師による講義を中心に、課題図書に基づくディスカッションなども行なっていく。

<教科書>

新共同訳および共同訳聖書。

<参考書>

授業内で提示。

日本キリスト教史
日本キリスト教史(4単位) 戒能 信生(1〜4)

日本プロテスタント・キリスト教史について、明治以降の各教派の伝道展開、教会形成を跡付けながら、この国のキリスト教の特質を探ります。特に、それぞれの時期に活躍した伝道者・神学者・信徒などの個人の信仰と思想、さらにその生涯の歩みに注目し、その著作に直接触れることを通して、歴史の中に生きたその足跡を学びます。
講義と受講生によるリーディング・レポートを組み合わせて授業を構成します。受講生たちの積極的な参加を期待しています。毎回、講義要録のレジュメと参考文献を配布します。
成績は、出席とリーディング・レポートによって採点します。したがって筆記試験やレポート提出はありません。

<授業予定>(前期)

4月12日 ①講義「中国伝道の歴史と幕末期宣教師の来日」
4月19日 ②講義「新島襄の生涯とその初発の信仰」
4月26日 ③受講生発題と講義「新島襄の手紙」
5月10日 ④講義「海老名弾正の生涯とその選択的信仰の特質」
5月17日 ⑤受講生発題と講義「海老名弾正の信仰理解」
5月24日 ⑥講義「植村正久の生涯とその正統的信仰」
5月31日 ⑦受講生発題と講義「植村正久の説教・論説」
6月7日  ⑧講義「内村鑑三の生涯とその贖罪信仰」
6月14日 ⑨受講生発題と講義「内村鑑三の聖書理解」
6月21日 ⑩講義「新渡戸稲造の生涯とその人格的信仰」受講生発題
6月28日 ⑪講義「柏木義円の生涯と牧師としての闘い」受講生発題
7月5日  ⑫前期授業のまとめ 共同討議

(後期)

10月4日  ①講義「救世軍の指導者山室軍平の生涯と信仰」受講生発題
10月11日 ②講義「ホーリネス教会の創始者中田重治の生涯と信仰」受講生発題
10月18日 ③講義「高倉徳太郎 その自我との闘いと信仰」受講生発題
10月25日 ④講義「金井為一郎 その神秘的信仰と祈りの姿勢」受講生発題
11月1日 ⑤講義「賀川豊彦 その生涯と贖罪愛の信仰」受講生発題
11月8日 ⑥講義「植村環 女性牧師としての生涯と信仰」受講生発題
11月15日 ⑦講義「この国の讃美歌を創った由木康の生涯と信仰」受講生発題
11月22日 ⑧講義「木俣敏 農村伝道と伝道圏伝道に尽くした生涯」受講生発題
11月29日 ⑨講義「戦争責任告白を担った鈴木正久の生涯と信仰」受講生発題
1月10日 ⑩講義「バルトの翻訳と平和運動を担った井上良雄の生涯」受講生発題
1月17日 ⑪講義「隅谷三喜男の生涯とその人格的信仰」受講生発題
1月31日 ⑫後期の授業のまとめ 共同討議

アジアキリスト教史
アジアキリスト教史(4単位) 明治学院大学にて(1~4)

明治学院と協約を結び、明治学院で開講される「アジアキリスト教講義シリーズ」(コロナ禍前の名称は「アジア神学セミナー」。体制が整ったらもとの神学セミナーの形に戻す予定とのこと)を履修できることになっています。「アジアキリスト教講義シリーズ」は一般市民向けの講座であるため、必ずしも「アジアキリスト教史」とは直結しないテーマのときもありますが、履修希望者は教務までお問合わせください。
2023年度は火曜日の18時40分~20時10分、春秋計10回の開講予定。受講料は免除。定員は4名まで。
内容と日にちについては、現在明治学院で調整中。決まり次第学生の皆さんにご連絡いたします。

内容の一部紹介

「現代中国の政治とキリスト教、松谷曄介(金城学院大学准教授、キリスト教研究所協力研究員)」、「アジア神学の課題としての身体、植木献(明治学院大学准教授、キリスト教研究所所員)」、「韓国現代政治史とキリスト教、徐正敏(明治学院大学教授、キリスト教研究所所員)」「遠藤周作とキリスト教、増田斎(京都ノートルダム女子大学・神戸女学院大学非常勤講師)」、「キリスト教と音楽 ~ミッションスクールの音楽教育~
長谷川美保(明治学院オルガニスト、キリスト教研究所協力研究員)」ほか

グローバルキリスト教史
グローバルキリスト教史(旧:世界キリスト教史)(集中講義2単位。日程調整中)大倉 一郎(1~4)

<授業の概略>

1.グローバル(global)宣教のキリスト教史
キリスト教の宣教活動は、初期からグローバル宣教史として捉えることが可能である。しかし、キリスト教がグローバル世界史において抜きがたい歴史的存在となるのは、西ヨーロッパを焦点にみた場合、大航海時代以降である。その時代から、現代にまでつながる人類の有機的包括圏ともいえるグローバル世界が形成され始めた。そのグローバル世界の形成と密接に関連しながらローマ・カトリック宣教とプロテスタント宣教は展開した。以上のような鳥瞰にたって、この授業は、ローマ・カトリック宣教とプロテスタント宣教をとりあげて宣教活動の軌跡と宣教神学の思想を理解することを目的にしている。
2.植民地主義と脱植民地主義の相克を視座としたキリスト教宣教史
大航海時代以降のグローバル世界史の基軸は、主に西欧諸国による植民地主義と被征服諸民族の脱植民地主義の相克の動きだった。授業は、その視座に立って、ラテンアメリカでのキリスト教宣教、さらに北米大陸でのキリスト教宣教をとりあげて、宣教の動向と思想を概観する。とりわけ宣教における植民地主義の克服という課題に焦点をあてる。その課題は、現代では宣教のパラダイム転換を求める主張となって神学の展開に大きな影響を及ぼしている。南北新大陸宣教を概観した後、眼差しを近現代のアジア・アフリカ、さらに日本におけるキリスト教宣教に向ける。とはいえ、限られた時数で長大な歴史と広大な地域と膨大な事項を扱うことは、もとより限界がある。そこで宣教活動とその神学的省察に焦点を当てて、時代のエポックをなす活動や思想をピックアップして学ぶ。
なお、この授業は、<教科書>欄に記すテキストに基づいて進める。テキストは授業以前(11月上旬頃)に配布するので予習しておくことが必要。予習を前提に講義を行う。

<授業の予定>

1.グローバル宣教史をめぐって
1-1. 宣教をどのように理解するか―ボッシュの宣教史研究
1-2. グローバル宣教史という視座
2.グローバル宣教史の概観
2-1. ローマ・カトリックのグローバル宣教―中南米での軌跡
2-2. プロテスタントのグローバル宣教――南アフリカ、インドでの軌跡
3.第二世界大戦後の世界宣教
3-1. プロテスタント―世界宣教会議と世界教会協議会
3-2. ローマ・カトリック―第2ヴァチカン公会議
4.被収奪地域からの宣教の神学の台頭
4-1. ラテンアメリカ解放の神学・米国黒人解放の神学
4-2. 南アフリカ解放の神学、ラテンアメリカのフェミニスト神学
4-3. 日本における解放の神学
5.戦後の日本の教会の宣教
5-1. 日本基督教団
5-2. 歴史的聖書学―田川聖書学と宣教実践へのチャレンジ
5-3. 社会的関与における宣教
6.次に向かう道―質疑と対話
6-1. 現代における神義論の問いから宣教を考える
6-2. 授業のふりかえり

<教科書>

履修生には予習教材として教務を通じて事前配布します。
大倉一郎『農伝講義テキスト グローバル宣教史と戦後日本の教会2023年版』大倉研究室、2023。
<参考書>
以下の参考書を自習しておくと授業の学びを助けます。各自でチャレンジしてみてください。「*」は農伝図書館に配架されているはずです。
1. 各地域史及び植民地史。
清水透『ラテンアメリカ五〇〇年―歴史のトルソー』岩波書店、2017。
網野徹哉『興亡の世界史 インカとスペイン帝国の交錯』講談社、2008。
峯陽一『南アフリカ「虹の国」への歩み』岩波書店、1996。
ユルゲン・オースタハメル『植民地主義とは何か』論創社、2005。
マルク・フェロー『植民地化の歴史―征服から独立まで/一三~二○世紀』新評論、2017。
2. 各論入門書及び原典史料。
染田秀藤『ラス=カサス』清水書院、1997。
バルトロメ・ラス・カサス『インディオは人間か』岩波書店、1995。
染田秀藤・篠原愛人 監修『ラテンアメリカの歴史―史料から読み解く植民地時代―』世界思想社、2005。
*関西学院大学キリスト教と文化研究センター編『キリスト教平和学事典』(「アパルトヘイト」「デズモンド・ツツ」)2009。
Kairos Document: Theological Comment on the Political Crisis in South Africa. CIIR; Revised Version 1986.
3. 神学研究および宗教研究書
*グスタボ・グティエレス『解放の神学』岩波書店、1985。
*レオナルド・ボフ/クロドビス・ボフ『入門 解放の神学』新教出版社、1999。
*アルバート・ノーラン『南アフリカにいます神―福音の挑戦』南窓社、1993。
*デイヴィッド・ボッシュ『宣教のパラダイム転換 下』新教出版社、2001。
*平良修『沖縄にこだわりつづけて 新版』新教出版社、2005。
平良修『私は沖縄の牧師である』沖縄恨之碑の会、2015。
4. 講師の関連論文・訳書
*大倉一郎「福島恒雄の北海道キリスト教史研究に関する一考察―『北海道キリスト教史』への応答と評価をめぐって―」『福音と社会』紀要第32号、農村伝道神学校。
*大倉一郎「賀川豊彦と北海道農民福音学校」『福音と社会』紀要第33号、農村伝道神学校。
*フロイド・ハウレット著/大倉一郎訳『教会教を越えて―ハウレット宣教師が北海道で見つけたもの―』日本キリスト教団出版局、2021。

<成績評価>

期末レポート試験による評価を行う。ただし、全出席日数の3分の1を超える欠席がある場合や提出の遅延は原則としてレポートを受理しない。

近現代日本史 Ⅱ
近現代日本史Ⅱ (前期2単位) 杉山 弘(1~4)

<講義の概略>

私たち人間の暮らしは、いつの時代にあっても社会とともにあります。時間と空間を共有する小さな共同体が社会の始まりでしたが、やがてより広く大きな社会へと変化してゆきます。社会が地球規模にまで拡大した時代を私たちは「近代」、あるいは「現代」と呼びます。「近現代日本史」という科目名には、グローバルな社会の動き、いいかえれば近現代の世界史との関係で、日本がたどった歩みをたしかめようという狙いをこめました。
2023年の「近現代日本史Ⅱ」では、戦争をキーワードに、1890年代から1950年代までをたどります。さまざまなできごとを戦前、戦時下、あるいは戦後と位置づけることで、社会と戦争との関係を考える手がかりを探ります。その際には、グルーバルな観点をもちつつも、他方では「地域社会」という視点も大切にします。世界と繋がっている私たち、という感覚を養うためです。
なお、近現代日本史の科目にはⅠとⅡがありますが、Ⅰ、Ⅱの順で履修されなくても(Ⅱ、Ⅰの順でも)、支障はありません。
また、2回の見学(土曜日実施/町田市立自由民権資料館・国立歴史民俗博物館)を予定しています。

<教科書>

・特定の教科書は使用しませんが、必読文献は講義中に紹介するか、コピーを配布します。

<参考書>

・原田敬一『日清・日露戦争』(岩波新書)岩波書店、2007年
・加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』(岩波新書)岩波書店、2007年
・吉田 裕『アジア・太平洋戦争』(岩波新書)岩波書店、2007年

近現代日本史Ⅰ
近現代教会史Ⅰ(2回目からオンライン、前期2単位) 柳下 明子(1~4)

<講義の概略>

16世紀のルターの「宗教改革」から18世紀までのヨーロッパから北アメリカ大陸に展開するキリスト教の動きを見ます。福音主義の教会の形成と発展の歴史の中から受け継ぐべきもの、克服してゆくべきものを見分けていきたいと思います。

<参考書>

『キリスト教史 下巻 増補新版』フスト・ゴンザレス著(石田学、岩橋常久訳)、新教出版社、2020年

近現代教会史Ⅱ

近現代教会史Ⅱ(後期2単位) 有住 航 (1~4)

<講義の概略>

19世紀から現代までのおよそ200年の世界的なキリスト教の動向を概観し、現在のキリスト教がどのような流れの中にあるのかについて理解を深めます。
とくに、20世紀以降のキリスト教にとって重要なふたつの運動––––エキュメニズムと解放の神学––––に焦点を当て、近現代のキリスト教の歴史をエキュメニカルかつ解放的な視点から検討します。
また、現代のキリスト教が直面している諸課題とそれに対する取り組みに触れ、21世紀のキリスト教のあり方を批判的に考察します。
1. 信仰復興運動と海外伝道の展開
2. 奴隷解放運動と社会的福音
3. 「産業革命」後のキリスト教––––キリスト教社会主義と「青年」運動
4. 「世界宣教」の展開と諸問題––––植民地主義/宣教
5. フランス革命後のローマ・カトリック教会
6. 二つの世界大戦とキリスト教––––戦争と教会
7. 「一致と和解」をめざすエキュメニズム
8. 解放の神学―過去と現在―
9. レイシズム/キリスト教
10. グローバルサウスのキリスト教
11. 気候危機におけるキリスト教                          などのテーマで構成します。

<教科書>

フスト・ゴンザレス『キリスト教史下巻 増補改訂版』 新教出版社、2020年.
*入手が難しい場合は、講義初日に指示します。
*すでに旧版(2003年)を持っている場合はそれでもかまいません。増補改訂箇所については配布資料等で対応します。

<参考書>

授業の中で適宜紹介します。

宗 教 学(仏教)
宗 教 学(仏教)(前期2単位) 近藤 伸介 (1~4)

<講義の概略>

仏教の誕生から現在までの流れ、及び仏教の基本的な教義について講義します。仏教は今から約2500年前にインドで生まれ、北方と南方のルートを辿ってアジア全体へと広がっていきました。日本にも中国を経由しておそらく6世紀頃に伝わっており、約1500年の間、独自の発展をとげながら日本仏教を形成してきました。そうした仏教の歴史を辿りつつ、また諸行無常・諸法無我・一切皆苦といった仏教の根本的な教義についても解説していきます。
本講義では、キリスト教を学ぶみなさんとの対話を重視し、キリスト教と仏教の共通点や相違点を探りながら、互いに学び合える機会になればと願っています。また、国民の大多数が仏教徒である日本において、キリスト教を伝えていくみなさんが仏教について知るきっかけとなる授業にしたいと思っています。

<教科書>

指定せず、毎回テーマを設定し、対話形式で進めていきます。

<参考書>

・中村元『インド思想史』岩波全書213、1968年。
・水野弘元『釈尊の生涯』春秋社、1985年。

教 義 学
教 義 学(4単位)  林 巌雄(1~4)

<講義の概略>

前期は「21世紀のキリスト教入門 一つの教会の豊かな信仰」(フスト・ゴンサレス、教文館、2022年)の序章「信仰を理解する」、第一章「啓示」、第二章「三位一体の創造主なる神」、第三章「人間」、第四章「贖罪―イエス・キリストと新しい創造」・・・・第九章「キリスト教的希望と終わりの時」、第一〇章「信じることと生きることと―キリスト教的生活」の合計11章を毎週一章ずつ読み進める。
毎回、受講者一人ずつにその章の概要を発表していただき、その後、議論をする。
後期は「神を考える」(D・ゼレ、1996年、新教出版社)を同様に読み進める。

<教科書>

受講者は「21世紀のキリスト教入門」を入手しておいてください。「神を考える」も入手していただくのが望ましいが、困難な場合は、コピーも可。

霊性とキリスト教倫理Ⅰ
霊性とキリスト教倫理Ⅰ(前期2単位) 石井 智恵美(1〜4)

<講義の概略>

「霊性」というテーマは、体・心・魂という人間の存在の根幹に関わるテーマである。危機の時にその人を根底から支えるものであり、日ごろからの訓練によってそれが養われる。本講義では、「霊性」の養いのために瞑想を行う。瞑想を通じて、自分自身をより深くみつめ、さらに自分の最も奥深いところで神と出会う場を整えることを学ぶ。キリスト教倫理の本質である「自分と同じように隣人を愛しなさい」を、実践してゆくために心身を整える霊性訓練を行う。自分自身に深く出会えば出会うほど、他者とも深く出会えることを、瞑想を続けるうちに受講者は必ず実感するだろう。他者に開かれた自分として生きる技法のひとつとしての瞑想を身につけることを本講義では目指す。この瞑想は坐禅の形で行うが、その方法を身につけることを主眼とするため出席を重視する。(欠席は2回まで)

<教科書>

イレーネ・マキネス『禅入門―カトリック修道女の歩んだ道』(岩波書店、2009)

霊性とキリスト教倫理Ⅱ
霊性とキリスト教倫理Ⅱ(後期2単位) 石井 智恵美(1〜4)

<講義の概略>

本講義は、「霊性とキリスト教倫理Ⅰ」を履修した者に開かれている。瞑想の方法が身についていることを前提として行う。前期で身につけた「霊性」の養いを、他者や社会へ向かう「倫理」へと切り結んでゆくことを本講義では目指す。今期はサリー・マクフェイグの著作を取り上げて、大量消費社会と気候変動危機の中に生きるキリスト者の社会倫理を共に考察したい。サリー・マクフェイグは、フェミニスト神学者として知られているが、生きとし生けるものすべての尊厳を尊重するエコロジストでもある。特に、今回取り上げる「ケノーシス」は自己無化の生き方であり、霊性と深く結びついたテーマである。キリスト者のみならず、全世界の生きとし生けるものにとっての緊急の課題―大量消費社会の転換と気候変動危機をキリスト教倫理の問題として共に参究したい。履修者には発表と学期末にレポートを課す。

<教科書>

サリー・マクフェイグ『ケノーシス―大量消費時代と気候変動危機における祝福された生き方』(2020、新教出版社)

禅キリスト教入門
禅キリスト教入門[オリエンテーション]  佐藤 研(1~4)

4月7日(金)午前9時〜午後4時(一年生は必修)。昼食持参。

<講義の概略>

禅の総体を概略紹介し、坐禅の仕方を学ぶ。
やや緩やかなズボンをはいてくることが望ましい。

<教科書>

なし。

<参考書>

なし。

禅キリスト教入門
禅キリスト教入門[接心](2単位)佐藤 研(1〜4) 特別集中講義(12/11〜16)(一年生は必修)

禅接心を行う(12月11日夜7時―16日正午)。
前提として、坐禅の仕方を知っていること、接心の概略を承知し、期間中は徹底した
沈黙を守れること(不可の場合は接心継続参加を認めない)。全期間参加すること。

<教科書>

なし。

<参考書>

なし。

組織神学/一泊坐禅会
坐禅会(1単位) 指導:佐藤 研 (4月以外はドイツよりオンライン)
(一年生は下記二回必修、2〜4年は選択、聴講可)
4月17日(月・午前9時)〜18日(火・午前7時30分)
10月16日(月・午前9時)〜17日(火・午前時30分)
詳細は追って告知する。
なお、5月15〜16日、6月19〜20日、11月20〜21日、1月15〜16日は自由参加。

黙想の時間(8単位)高柳富夫・佐藤 研(1年生は必修、2〜4年は選択、通年聴講可)
毎週木曜日午後4時30分〜18時00分。研修棟二階の黙想室(禅堂)にて行う。
1炷(ちゅう)25分の坐禅を3炷、間に経行(きんひん:歩行禅)を行う。
これは12月に行われる接心のためのトレーニングでもある。

実践神学/実践神学特講Ⅰ
実践神学特講Ⅰ(前期2単位) 有住 航(1〜4)

<講義の概要>

テーマ: 現代のバベルの塔––––オリンピック・万博に対する神学的応答
本講義では「実践神学」の課題として、現代世界で起きているさまざまな問題に対する神学的応答を試みます。とくに、近年おおくの問題を含みながらも世界各地で開催されるオリンピックや万博などの「メガイベント」のもたらす課題を取り上げ、さまざまな視点から批判的に考察します。
『現代のバベルの塔––––反オリンピック・反万博』(新教出版社、2020年)に収められた論考を応答のための手掛かりとしつつ、いま何が議論され、何が課題とされているのかを理解し、メガイベントの時代に生きるわたしたちがこれらの問題にどのように向き合うのかについて考えたいと思います。

<講義計画>

参加者によるテクスト精読と相互討論によってすすめます。初回の講義で、参加者の報告担当を相談し決定します。
1. イントロダクション、講義の説明、分担決め
2. 「解放の神学」とオリンピック・万博
3. 「路上の生活」とオリンピック・万博
4. 「よくしたくない権利」とオリンピック・万博
5. オリンピック・万博は「現代のバベルの塔」か?
6. そもそもオリンピック・万博とは何か?
7. 「科学技術」とオリンピック・万博
8. 「インクルージョン」とオリンピック・万博
9. 「ダイバーシティ」とオリンピック・万博
10. 「植民地主義」とオリンピック・万博
11. ふりかえりとまとめ

などのテーマですすめます。

<教科書>

新教出版社編集部編 『現代のバベルの塔』、新教出版社、2020年.
*入手が難しい場合は、講義初日に指示します。

<参考文献>

講義のなかで適宜紹介します。

実践神学特講Ⅱ
実践神学特講Ⅱ(後期2単位) 有住 航(1〜4)

<講義の概要>

テーマ: 解放の神学––––開発、労働、身体をめぐって
本講義では、現代キリスト教の重要な神学的潮流のひとつである「解放の神学」を取り上げます。第二次世界大戦後のラテンアメリカで、数百年にわたる植民地化の暴力と、その新しい統治形態としてあらわれた開発独裁に抵抗する実践–神学として登場した「解放の神学」の歩みと動向を概観します。また、「開発」「労働」「身体」などのキイワードを手掛かりにしながら、解放の神学のこれまで・いま・これからについて、批判的に検討します。
これらの検討をとおして、解放の神学の今日的意義と課題を明らかにしつつ、わたしたちの現場/実践からの応答を試みます。
実践〈プラクシス〉を再考する

1. 植民地主義、開発主義、採掘–採取主義
2. 農地・共有地の「囲い込み」と土地闘争
3. 都市––農村、都市労働者––土地を失った農民
4. バチカンと解放の神学––––批判と応答
5. 「解放の神学は樹木である」––「神学」の主体をめぐって
6. 「大地に足をつけた神学」––神学の現場をめぐって
7. 解放の神学と「寄場」の同時代性
8. 「身体–領土」––フェミニサイドと植民地主義
9. 気候危機と解放の神学

                            などのテーマで構成します。
<教科書>

教科書はとくに定めません。

<参考文献>

適宜講義のなかで紹介します。

礼 拝 学
礼 拝 学(前期2単位) 小海 基(1〜4)

<講義の概略>

現在世界の教会はエキュメニカル(教会一致運動)な段階を迎えています。1982年にWCC信仰職制委員会の出した「リマ文書」がきっかけになって、礼拝と職制の具体的検討が進んでいます。2013年には第10回WCC総会が東アジア初の釜山で開かれました。1962~65年に開かれた第二ヴァチカン公会議からも半世紀たちました。1517年の宗教改革から500年を越え、という年でもあり、ルターの名誉回復、カトリックとルター派の相互陪餐も可能となり、500周年さえもエキュメニカルで祝うまでになりました。2015年1月26日には英国国教会(聖公会)で初の「女性主教」さえも誕生しました。日本では北村慈郎牧師が「開かれた聖餐(フリーコミュニオン)」を行ったとして「牧師免職」が強行されましたが、2013年6月にはドイツ福音協会(EKD)のヘッセル・ナッサウ州が「教会生活規則」(改訂版)において州のすべての教会で「開かれた聖餐(フリーコミュニオン)」を行うこと、「同性婚」を受け入れることに踏み出す決議がなされました。政治的にはユダヤ教・イスラム教・キリスト教間の緊張は高まっていますが、宗教的対話はいろいろな形で深まりつつあります。日本基督教団も『讃美歌21』出版を契機に礼拝改革運動が広がりつつあります。日本基督教団がどんなに逆向きに動こうとも、多様化、相互承認の流れは変えられないでしょう。
教会が真剣な取り組み、活動をしているところでは、必ずそれは礼拝に反映されます。みなさんも将来、具体的な牧会現場でさまざまな取り組みをされるでしょうが、それは礼拝にどう反映されるのかを共に考えてみたいと思うのです。礼拝は、単なる形式のことではありません。形の背後にその群れが命を賭けて取り組んでいる運動、神学、思いがあるのです。ビデオや具体的な式分を通してそれを味わっていただきたい。
金曜の朝の一限目という早い時間ですが、そこには礼拝を作りあげていく者は、朝早く起きる努力から始めていただきたいという願いが込められています。従来、日本のプロテスタント神学校の中では、「礼拝学」は軽視されてきました。それがまた各個教会の礼拝改革を遅らせてきたことの原因でしたし、岸本羊一先生が著書で述べられている礼拝のシラケ現象を引き起こしていると思います。また、他でもない本来一致の頂点であるべき礼拝のただ中で、部落差別や障害者差別がまかり通ってしまう無自覚さが、日本の教会には確かにありました。今日、地方の教会でこそ、新しい礼拝学的取り組みが豊かになされています。そのことをしっかりと喜びうけとめたいと思うのです。
基本的なことから現代的なことまで、展開していきたいと思っています。
序 今日において、礼拝は何を意味するか。
実践神学に置ける位置づけ。礼拝学の方法論。

1. 現代における礼拝の諸問題「礼拝と差別1」
WCCの礼拝における民族色の問題
結婚式、離婚式と性差別の問題 等
2. 現代における礼拝の諸問題「礼拝と差別2」
聖餐式と部落差別の問題 等
3. 現代における礼拝の諸問題「礼拝と差別3」
葬儀の問題 等
4. 現代の礼拝・リマ式文による礼拝・テゼ共同体の礼拝・解放の神学の信仰基礎共同体の礼拝
5. 現代における礼拝の諸問題「礼拝と差別4」
洗礼と「障害者」差別の問題 等
6. 現代における礼拝の諸問題「礼拝と差別5」
洗礼の担い手(職制)と性差別の問題 等
7. 礼拝の歴史「1.旧約・新約・初代教会の礼拝」
ユダヤ教(過ぎ越しの祭り)、旧約の神殿礼拝、ディダケー、ユスティノス、ヒッポリュトス 等
8. 礼拝の歴史「2.ミサ・ガリア・ローマ典礼」
カトリックの典礼確立史
9. 礼拝の歴史「3.初代教会の礼拝II」
現代女性学から見たヒッポリュトスの「使徒伝承」
10.礼拝の歴史「4.宗教改革期I 総論」
日本の教会の礼拝改革はなぜ遅れたのか。
11.礼拝の歴史「5.宗教改革期II ルター・ツヴィングリ」
12.礼拝の歴史「6.宗教改革期III カルヴァン」
13.礼拝の歴史「7.現代の改革派諸教会 I」
フランス改革派、スコットランド長老教会
14.礼拝の歴史「8.現代の改革派諸教会II」
日本基督教会
15.礼拝の歴史「9.現代の改革派諸教会III」
アメリカ合同長老教会
16.礼拝の歴史「10.宗教改革期IV 英国国教会」
第一祈祷書、第二祈祷書、祈祷書の中の天皇制問題
17.礼拝の歴史「11.東方正教会」
18.礼拝の歴史「12.クエーカー・バプテスト・その他」(シェーカー・アーミッシュ) ノン・リタージーの流れ
教団の『新しい式分―試案と解説』(1990)等

*その他、講義の中で以下のことに触れます。
教会暦(礼拝暦)と聖書日課(レクショナリー)
教会暦の成立と意義およびその展開。
伝統的西方教会暦・ノンリタージカル運動、教団「新しい教会暦」・教会暦と行事暦、
教会建築・シンボリズム・その他、礼拝学関係文献

<教科書>

講師が準備したものを主に用います。前もって配布しますので、必ず目を通して授業に参加してください。
J.F.ホワイト著『キリスト教の礼拝』(高い本ですが資料と併用します。各自購入して下さい。)

<参考書>

岸本羊一著『礼拝の神学』日本基督教団出版局
『洗礼・聖餐・職務―教会の見える一致をめざして』日本基督教団出版局
神田健次著『現代の聖餐論』日本基督教団出版局
今橋 朗著『礼拝を豊かに―対話と参与―』新教出版社
ジャネット・R・ウォルトン著『礼拝に何が必要か―芸術との共同―』新教出版社
H.G.ヘイゲマン著『礼拝を新たに』新教出版社
森野善右衛門著『礼拝への招き』新教出版社
ウィリアム・ウィリモン著『礼拝論入門―説教と司式への実践的助言―』新教出版社
同上著『言葉と水とワイン―キリスト教礼拝史入門―』新教出版社
J.A.ユングマン著『古代キリスト教典礼史』平凡社
W.ナーゲル著『キリスト教礼拝史』教文館
教団出版局聖書日課編集委員会編『新しい教会暦とお聖書日課』日本基督教団出版局
今橋 朗、竹内謙太郎、越川弘英監修『キリスト教礼拝・礼拝学事典』日本基督教団出版局

説教学・説教演習
説教学・説教演習 (4単位) 酒井 薫 (3~4)

<講義の概略>

本講は、教会現場に説教者として立つ時に必要な、聖書への取り組み方と伝え方を学ぶことを目指します。任地に赴任したとたんに、み言葉を語る、という毎日が続きますので、前半はその事前準備の知識とハウツーを共に考えてまいります。受講者には、毎回担当者を決め、当該箇所のレポートを課題として課します。レポートを評価して成績とします。後半は説教演習として、毎回担当者を決め、当該箇所の説教実践演習を課題として課します。授業内容態度を評価して成績とします。

<教科書>

・「新共同訳聖書」日本聖書協会 1987年発行版
・「目はかすまず 気力は失せず」新教出版 関田寛雄著 2021年初版

<参考書>

諸資料は、講師側からその都度提案いたします。

牧 会 学
牧 会 学(4単位)  平良 愛香 (1~4)

<講義の概要>

前任の講師のシラバスを参考に授業を進める予定です。
Ⅰ 牧会学は神学(実践神学)の一分科としてその役割を担っています。そもそも牧会学とは何か。まず現代に至るまでの歴史をたどりながらその使命をたずねます。
旧約聖書の預言者たち、詩篇にみる詩人の姿、新約聖書(福音書)における牧会者としてのイエス、その後に続く使徒たちの「牧会者」としての姿をたどります。更には教会史(古代、中世、宗教改革期、近現代)に登場する牧会者たち、一例としてアウグスチヌス、ルター、カルバン、ボンヘッファー、k.バルトなど、異なる時代の中で福音の宣  教者、牧会者、教会の導き手として働いた人々に光を当てます。
魂(ネフエシュ)の養いを意味する牧会は、牧会者自身が詩篇の詩人と共に次の問いの前に立たされます。
「わたしの魂よ、主をたたえよ!」詩篇103.1,2
「わたしの魂は慰めを受け入れません。」詩篇77.3
「わたしの魂よ、沈黙して、ただ神に向かえ」詩篇62.6
このように、聖書が示している「わが魂」との対話は、実にさまざまな調べを持っています。しかもその対話は傷つき、痛みを負っている魂との対話です。
牧会学を学ぶのは、それが牧会に携わる者にとって主からの慰めの体験と不可分だからです。
Ⅱ 実践的牧会学
私の(皆さんの)体験をベースにしながら、私たちのこれからの牧会について広く
深く対話を試みます。
<牧会学の参考書に関して>
参考となる文献は多くありません。まとまったものとしては『魂への配慮の歴史』C.メラー編 1巻~12巻(教団出版局)。資料に関してどうしても必要な場合はコピーを用意しますので購入する必要はありません。
なお、授業には聖書を持参してください。

キリスト教教育
キリスト教教育 (4単位) 比企 敦子(1~4)

<講義の概要>

キリスト教教育は、幼児・児童・青年に限られるものではないと思います。成人後も新たな視点や気づきが与えられ、生涯続きます。教会教育として成人科を置いている教派もあり、教会員が共に学びあいます。常に教職者が教える立場で信徒は教職者から学ぶという図式も問われるように思います。共に学びあうことは豊かさに繋がると思います。その意味でも、これまで私たちが受けたキリスト教教育を検証しつつ、少人数の良さを活かせるような授業形態にしたいと思います。
ここでは、キリスト教教育を、教会教育・平和教育・人権教育と捉えます。まず、明治期からの日本の教会教育の歴史を概観すると共に、私たちに託されているキリスト教教育の課題について考えます。日本では、日曜学校から教会や学校に発展した事例も多く、1907年日本日曜学校協会(NSSA)設立後は教派を超えた日曜学校運動という伝道運動となりました。
1920年開催の「第8回世界日曜学校大会」という政財界や宮内省と一体化した国家的イベントを経て翼賛的な流れに組み込まれ、聖書の言葉を用いて子どもたちを戦争協力へと誘導するに至りました。そのような流れとなった原因や背景を探りたいと思います。
戦後、日本基督教団議長名による戦責告白が表明されましたが、教団「前史」の学びはとても重要です。日本の教会が辿った歴史は、朝鮮半島やアジア諸国への植民地支配抜きには考えられません。政権や政策に無批判なまま取り込まれていった流れの背景を探りつつ、今日も続く天皇制、「日の丸・君が代」の強制、歴史教科書問題、道徳の「教科化」などについて考察します。
道徳は、2018年からは小学校で、2019年からは中学校で道徳が評価を伴う正式な教科となり、キリスト教学校では聖書の授業を読み替えています。「文部省訓令第12号」「私立学校令」などによって宗教教育が禁止された歴史をもつ日本において、注視すべき事態です。
更に、信教の自由や人権を侵害する諸問題や自らの内にある差別意識や偏見への気づきと共に、この時代におけるキリスト教教育としての人権教育について確認したいと思います。
前期の講義の最後には、「NCC教育部平和教育資料センター」を見学します。後期はゼミ形式で共通の書籍をテキストとして読みすすめます。テキストは前期の講義終了後に示します。
以下のテキスト、レジュメ資料、ビデオを使用し、推薦書籍類は別途掲載します。

<テキスト>

・「NCC教育部平和教育資料センター」 NCC教育部発行2017年
・「キリスト教教育週間と子どもたち─戦前・戦中・戦後の歩み」 NCC教育部発行2017年

<参考図書・DVD>

・『教会教育の歩み─日曜学校から始まるキリスト教教育史』教文館2007年
・『教会教育の歩み』DVD NCC教育部2007年
・『日本キリスト教教育史思潮編』キリスト教学校教育同盟 創文社1993年
・『未来に希望 現在に勇気』全国キリスト教学校人権教育研究協議会論集(第20回、第30回)

実践神学/牧会学
は隔年開講のため、今年度の開講はありません
実践神学/キリスト教教育Ⅱ
キリスト教教育Ⅱ 比企 敦子(2~4キリスト教教育Ⅰ既修者)2023年度は通年の講座の予定

<講義の概要>

「キリスト教育Ⅰ」の講義内容、NCC教育部平和教育資料センターおよびマイノリティー宣教センター見学での学びを前提にします。本講ではキリスト教教育を、教会教育・平和教育・人権教育の視点から考えますが、多岐にわたる分野での知識や認識をアップデートする必要も求められます。キリスト教教育Ⅰで得た知識や各自のレポートを元に、ゼミ形式を取り入れながら講義を進める予定です。
2000年3月から公立学校で実施されている「日の丸・君が代」への強制をはじめ、日本社会に通底する「同調圧力」と相まって、憲法で保障されている信教の自由が脅かされています。憲法には市民の生存権や人権、思想・信条の自由、武力によらない平和が謳われていますが、天皇を国家元首に復帰させようとする「改憲勢力」の元で、教育も右傾化の一途を辿りつつあります。
2018年以降「道徳の教科化」が小・中学校で開始され、「教育勅語」を想起させると危惧されています。新自由主義の元での競争原理を和らげるための一種の国民教育とも言えます。教会やCSに集う子どもたちが日々受けている公教育の問題性(歴史・公民教科書問題を含む)について、知っておく必要があります。
子どもたちを戦争協力へとミスリードした歴史をもつ日本の教会の罪責告白に立ち、東アジアの和解と平和をつくりだす働き人となるキリスト教教育を模索したいと思います。

<テキスト>

①『目はかすまず 気力は失せず 講演・論考・説教』関田寛雄著
新教出版社 2021年7月発行 ¥2200
(授業では、第1章キリスト教学校人権教育セミナーからはじめます。)
②『日本におけるマイノリティ人権白書』
マイノリティ宣教センター発行 2021年7月発行 \500

<参考図書>

・ 第3版『いばらの冠』NCC部落差別問題委員会2022年夏発行予定
・『教会教育の歩み─日曜学校から始まるキリスト教教育史』教文館2007年
・『教会教育の歩み』DVD NCC教育部2007年
その他の参考書籍や資料は講義で紹介します。

農村伝道論
農村伝道論(4単位) 池迫 直人(2〜4)

はじめに、受講者と相談して、内容を組み立てます。
農村、農業についてご自分なりの関心を要約できるように準備して臨んでください。
単位の認定は、出席を重視し、かつレポートによります。

農業実習Ⅰ・Ⅱ(各8単位)池迫 直人(1〜2)
履修者と相談して、内容を組み立てます。
年間をとおして、変化する環境全体と農のいとなみを関連付けて理解できるようにうながします。
出席と積極性を評価の基準とします。

牧会心理学
牧会心理学(1単位)大西 秀樹(医師、精神科専門医)、石田真弓(臨床心理士、公認心理師)(1~4)集中講義もしくは宣教部特講内で開講 日程調整中

<講義の概略>(前年度のものをそのまま載せてあります)

信徒およびその家族に心の問題が生じることは稀ではない。その際の適切な援助は本人およびその周囲にいる人々の心の安定を保つために欠くことはできない。したがって、心の問題およびその援助法について学び、実践することが欠かせない。
本講では、主に成人にみられる心の問題について解説するとともに、牧師として、本人および周囲に対しどのような援助を行えばよいか解説したい。
信徒に身体面の問題が生じることもある。身体の問題を抱えると、日常生活の変化から様々な心の問題が生じる。その際の精神的な援助および家族の援助について解説する。
死別は人生最大のストレスである。したがって、遺族に心身の問題が起きることも多い。遺された人々のケアも重要な課題である。遺族に生じる心の問題およびそのケアについても学ぶ。

<教科書>

聖書:「よきサマリア人のたとえ」を読んできてください。

<参考書>

1. 命がけでユダヤ人を救った人々(キャロル・リトナー, サンドラ・マイヤーズ、河出書房新社)
2. 遺族外来(大西秀樹著、河出書房新社)

実践神学/牧会心理学〔集中講義〕(集中講義1単位)
牧会心理学(1単位、再履修にて2単位まで可)大西 秀樹(医師、精神科専門医)、石田 真弓(臨床心理士、公認心理師)〔集中講義 9月27,28日(日程最終調整中)〕(1~4)

<講義の概略>

信徒およびその家族に心の問題が生じることは稀ではない。その際の適切な援助は本人およびその周囲にいる人々の心の安定を保つために欠くことはできない。したがって、心の問題およびその援助法について学び、実践することが欠かせない。
本講では、主に成人にみられる心の問題について解説するとともに、牧師として、本人および周囲に対しどのような援助を行えばよいか解説したい。
信徒に身体面の問題が生じることもある。身体の問題を抱えると、日常生活の変化から様々な心の問題が生じる。その際の精神的な援助および家族の援助について解説する。
死別は人生最大のストレスである。したがって、遺族に心身の問題が起きることも多い。遺された人々のケアも重要な課題である。遺族に生じる心の問題およびそのケアについても学ぶ。

<教科書>

聖書:「よきサマリア人のたとえ」を読んできてください。

<参考書>

1. 命がけでユダヤ人を救った人々(キャロル・リトナー, サンドラ・マイヤーズ、河出書房新社)
2. 遺族外来(大西秀樹著、河出書房新社)

宣教学特講
宣教学特講 (単位認定なし) 平良 愛香 (1~4)

宣教者として現場で働く際に、学校ではほとんど(全く)教えてもらっていなかったという事柄にぶつかることがあります。また、長く現場にいても知識が無かったために対応に困った、という話を聞くこともあります。現場で学ぶことはとても大切ですが、「現場で学んでください」で片づけてしまうのではなく、神学校にいる間に少しでも多くの引き出しを持ってもらいたいと思い、宣教学特講を開講することになりました。宣教に関わるあれやこれや(宣教に関わらない事柄は存在しないのですが)を、いろいろな方をお招きしてお話していただきます。
水曜5限(不定期) 16:20~17:50

前期

4月12日 宣教学特講について 平良愛香
19日 教誨師のお仕事 金子信一
5月16日(この回のみ火曜) 「伝わる声、話し方」友野富美子
31日 死刑制度 柳川朋毅
6月 7日 ハラスメント防止 石井智恵美
21日 「宣教活動に潜むリスク~法律実務現場から」平良一器

後期

10月4日 カルト問題 小海基
18日 精神医療と牧会 國米リリ子
11月1日 賛美歌学 川瀬麻衣
15日 死にゆく者への看取り 佐野浩子
29日 葬儀のこころえ 瀬戸英治
1月17日 身体性 坂口聖子
その他、引き続き交渉中、随時追加する予定あり。
履修していなくても単発での出席可能ですが、その場合は掲示板に掲示してある宣教学特講スケジュールに前週の金曜日お昼までに記名してください。(人数把握のため)

日本基督教団史
日本基督教団史(前期2単位) 瀬戸 英治(1~4)

<講義の概略>

日本基督教団の成立と以後の歩みを概観しながら、日本基督教団の教会としてのあり様を捉え、日本基督教団合同教会論の可能性を考える。
・日本基督教団の成立と戦争協力
・終戦後の歩み―教派問題と教団信仰告白の成立
・教団紛争―万博問題と東神大機動隊導入問題
・沖縄キリスト教団との合同とその捉え直し
・阪神淡路大震災と教団の対応を巡って
・差別問題への対応
・「信仰告白による一致」と公同教会宣言
・「聖礼典の乱れ」キャンペーンと教師免職処分問題
・日本基督教団とはどういう教会なのか?

<教科書>

なし(授業ごと、資料等を配布します)

<参考文献>

日本基督教団史資料集 全5巻 日本基督教団宣教研究所教団史史料編集室編纂
ほか、そのつど紹介します。

教憲教規(2単位、日程は履修者と相談) 瀬戸 英治(4)

<講義の概略>

⑴ 教憲・教規によって法的に形付けられている日本基督教団・教区・教会・信徒を学ぶ。
⑵ 戦前の宗教団体法と戦後の宗教法人の違いを比べ、国家と宗教について考える。
⑶ 教憲・教規と宗教法人法の関連を学ぶ。
⑷ 補教師検定試験の準備をする。

<教科書>

⑴ 日本基督教団『教憲教規および諸規則』(最新版) 日本基督教団出版局
⑵ 『宗教法人法』日本基督教団事務局
⑶ 『教師検定試験問題集』日本基督教団教師検定委員会

<参考書>

『宗教法人法の諸手続き』(日本基督教団事務局)
『教憲教規の解釈に関する洗例集』(日本基督教団信仰職制委員会)

解放講座
解放講座A「部落解放講座」(集中講義7月20日~23日) 和田 献一(1~4)

<講義の概略>

1871年(明治4年)明治政府は国民国家を形成するために、太政官布告によって戸籍制度を施行し、日本国民を造ることにした。さらに同年、賤民廃止令(いわゆる解放令)を布告し、「平民同様たるべきこと」とした。以来150年経過しても今なお部落差別問題が解決していない。戸籍制度による制度的差別が継続していることに原因がある。マイノリティへの差別や人権侵害は国家による法律や制度によって生み出される制度的差別である。封建的家制度を維持してきた戸籍制度は第二次大戦後、憲法に違反するとして封建的家制度が廃止されてもなお現行制度として機能し、制度的差別を生み出している。
部落問題の歴史的経過を概観する。被差別部落の内部文書にある「長吏を穢多と呼ぶは僻事なり」の被差別の側から長吏の歴史をひも解くことで、他称である「エタ非人」史観を批判的に取り上げる。
国際人権の潮流を踏まえて、部落問題を「Descent/社会的身分または門地・世系」として人種差別撤廃条約第1条の人種の定義に包括される問題としてとらえる。マイノリティの人権を重視する国際人権の潮流から部落問題を考えるため、国連の人種差別撤廃委員会などの勧告を取り上げる。
部落問題解決のために実施された同和対策事業を検証しながら、社会保障制度が憲法第25条の最低限度保障のための最終の社会的セーフティネットになっていない現状を考える。経済的マイノリティを排除している制度的差別の課題を見出していく。

<教科書>

「ちょっと待って!人権がある」和田献一 解放出版社
「被差別部落の生活と文化」栃木県教育委員会・栃木県同和地区文化遺産調査委員会
「被差別部落の民俗」部落解放同盟栃木県連・女性部
「被差別部落の民俗」宮本袈裟雄 岩田書院(上記掲載の書籍と内容は同じ)

<参考書>

「冬枯れの光景」上 下 谷元昭信 解放出版社 「同和対策の現況」総理府
「狭山事件の真実」鎌田慧 岩波現代文庫 「狭山裁判」上 下 野間宏 岩波新書
「社会保障法」菊地馨実 有斐閣
「東日本の部落史」Ⅰ Ⅱ Ⅲ 東日本部落解放研究所 現代書館
「部落・差別の歴史」藤沢靖介 解放出版社 「竹の民俗誌」沖浦和光 岩波新書
「漂泊の精神史」赤坂憲雄 小学館 「賤民の異神と芸能」谷川健一 河出書房新社
「聖なる伝承をめぐって」井本英一 法政大学出版部
「国際人権の地平」阿部浩巳 現代人文社 「人種差別に終止符を。」反差別国際運動
「職業と世系に基づく差別」(社)部落解放・人権研究所 解放出版社
「戸籍と国籍の近現代史」遠藤正敬 明石書店

解放講座B
解放講座B「在日韓国・朝鮮人人権講座」(前期2単位) 孫裕久(そん ゆうぐ)(1~4)

<内容>

1. 在日韓国・朝鮮人の歴史や民族差別の現実をQ&A形式で解説した『新 在日韓国・朝鮮人読本 (リラックスした関係を求めて)』をテキストとして用いる。
2. 本書は、在日韓国・朝鮮人が日本に渡った経緯や戦時労働動員、創氏改名の歴史、解放後の活動、小松川事件、指紋押捺拒否運動、公務員として働くことに制限があることや帰化に反対意見の多い理由など、計26のテーマ(質問と解説)からなる。
3. 本解放講座のねらいは、テキストの理解に留まらず、共に話し合い考え、自らの潜在的な差別性と向き合う所にある。

<注意点>

1. 差別することが問題なのであって、内在する差別性が問題なのではない。
2. しかし解放講座は、受講生相互の内在するその差別性に目を向けるため危険を伴う。
3. 各自は、受講生相互(講師も含む)の解放を目指し、共同作業をしているだとの自覚を常に維持して毎回の講座に臨むこと。

<解放講座の進め方>

1. 毎回、テキストの中から1〜2個のテーマを取り上げる。
2. 受講生はその回のテーマを予め一読していることを前提とする。
3. 各回のテーマを予め決められた担当者(受講生)が発題する。
4. その発題を受けて、受講生全員でディスカッションする
<テキスト>『新 在日韓国・朝鮮人読本 (リラックスした関係を求めて)』
梁泰昊・山田貴夫著 緑風出版 2000円

解放講座E
解放講座E「沖縄と教会」(2単位) 平良 愛香 (1~4)

 

<講義の概略>

「沖縄を見ずに宣教をしようとすると、問題と方向を大きく見誤りますよ」と言った人がいる。この言葉は何を意味するのだろうか。
「沖縄は大変ですね」と言われることがある。その「ねぎらい」の言葉が、沖縄を傷つけていることに気づいているだろうか。
「沖縄の問題」ではなく「日本の問題」「日本のすべてのキリスト者の問題」であることを共に学んでいければと願っている。

<トピック>

沖縄の文化を学ぶ(食、言葉、音楽ほか)
沖縄の歴史を知る1(植民地としての沖縄)
沖縄の歴史を知る2(加害者としての沖縄)
沖縄戦とは何か
基地の問題
沖縄と天皇制
プロテスタント150年を考える
沖縄と国家
沖縄とキリスト教
沖縄キリスト教団と日本基督教団
基地の県外移設と沖縄独立論
琉球人遺骨返還訴訟
沖縄を通して浮かび上がる日本の問題
沖縄を通して浮かび上がるキリスト教の問題 ほか

<教科書>

特になし

<参考書>

いろいろ用意します。それぞれで選んでいただき、読んで紹介してもらいます。

キリスト教概論
キリスト教概論(前期2単位) 小手川 到(1〜4)

<講義の概略>
本講は、神学するための様々な手掛かりを得ること、神学の基礎的な足腰を鍛えることを目的とする。「神学する」とは、著名な神学者の「○○の神学」を受け売りすることではない。教義や教理などを鵜呑みし丸暗記することでもない。あなた自身の神学を全身全霊で丁寧に構築していく試みである。しかしそれは独りよがりであってはならない。あなた自身の神学が、他者や社会や歴史と対話可能なものとなっているか、常に批判的な態度を怠らない謙虚さが求められる。
キリスト教とは何か。わたし(たち)は何を信じているのか。隣の人の理解するキリスト教とわたし(たち)の理解するキリスト教とは正しく一致しているのだろうか。キリスト教と他宗教との関係をどう考えればよいか。これらの問いに対する答えを一緒に探っていきたい。受講する学生は、自らの信仰について他の受講生たちと分かち合うことから始める。共に学び、語り合うことを通して、他者との、また神との出会いが豊かにされていくことを願っている。

<教科書>

『聖書』新共同訳(日本聖書協会)
『信じる気持ち―はじめてのキリスト教』冨田正樹著(日本キリスト教団出版局)
『そうか なるほど キリスト教』荒瀬牧彦/松本敏之監修(日本キリスト教団出版局)

<参考書>

『洗礼を受けるあなたに キリスト教について知ってほしいこと』(日本キリスト教団出版局)
『図解 これだけは知っておきたいキリスト教』山我哲雄著(洋泉社)
『聖書時代史(旧約篇)』山我哲雄著(岩波書店)
『聖書時代史(新約篇)』佐藤研著(岩波書店)
『神学のよろこび ―はじめての人のための「キリスト教神学」ガイド』
アリスター・E・マクグラス著 芳賀力訳(キリスト新聞社)
『キリスト教神学入門』A・E・マクグラス著 神代真砂実訳(教文館)
その他、授業の過程で適宜指示する。

社 会 学
社 会 学(後期2単位)  林 巌雄 (1~4)

<講義の概略>

「人新世の『資本論』」(斎藤幸平、2020年、集英社新書)あるいは「ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた」(斎藤幸平、2022年、KADOKAWA)を毎週20頁くらいずつ読み進める。これからの「農村伝道」のあり方を現代世界の重大な社会的問題を認識しながら考える。どちらの本にするかは、受講者に追って連絡する。
毎回、受講者一人ずつにその範囲の概要を発表していただき、その後、議論をする。
受講者はこの本を入手しておいてください。どちらにするかは追って連絡します。

オルガンⅠ
オルガンⅠ(前期2単位) 三宮 千枝(1〜4)

<講義の概略>

礼拝奏楽のためのリードオルガン奏法、各人に応じた個人レッスン。

<教科書>

♪初歩の人 島崎赤太郎編『オルガン教則本』
『初歩からさんびかがひけるまでのオルガンテキストブック』1〜4(キリスト教音楽センター)
♪オルガン教則本終了程度の人『ラインハルト・オルガン教本』(日本基督教団出版局)

<参考書>

『讃美歌21』、大中寅二『礼拝用オルガン小曲集』『オルガン聖曲集』等。

オルガンⅡ
オルガンⅡ(後期2単位) 三宮 千枝(実技Ⅰ既習者、Ⅰ未習者は要相談)

 

<講義の概略>

礼拝奏楽のためのリードオルガン奏法、個人レッスン。オルガン実技Ⅰ履修者対象。

<教科書>

オルガン実技Ⅰで使用の教科書の続き、『讃美歌21』

<参考書>

J.S.バッハ『オルガン曲集』等、適宜。

語学/ヘブライ語文法
ヘブライ語文法(4単位) 飯郷 友康(1〜4)

<講義の概略>

一年かけて、ヘブライ語を勉強しましょう。
まず、文字と発音をおぼえて、数のかぞえかたや辞書の引き方を学びます。
それから、文法を学びます。
他言語との比較も行います。
講師は、なるべく分かりやすい授業を目指します。

<教科書>

「ヘブライ語文法」の教科書は、とりあえず必要ありません。

<参考書>

『ドラえもん はじめての国語辞典』第2版(日本語の辞典としてとても有用です)

語学/旧約原典
旧約原典 (4単位) 飯郷 友康(ヘブライ語文法既習者)

<講義の概略>

「旧約」とは何か、「原典」とは何か、ということから共に考えつつ、
旧約原典を一年かけて、学びましょう。

<教科書>

受講者が普段用いている聖書をお持ちください。
それ以外は授業の中で提示します。

<参考書>

よい参考書がありましたら、ご紹介ください。情報を共有しましょう。

語学/ギリシャ語文法
ギリシャ語文法(4単位) 吉田 忍(1〜4)

<講義の概略>

新約聖書のギリシャ語の基本文法を学びます。授業は文法事項の説明及び宿題の解説が中心となります。毎回、希文和訳及び希語単語暗記を宿題として提出しますから、受講者は予習・復習に十分時間を割く必要があります。
尚、一度基本文法を学ばれた方が受講しても構いません。

<教科書>

大貫隆『新約聖書ギリシア語入門』岩波書店、2004年

<参考書>

授業内容をまとめたプリントを毎回配布します。

語学/新約原典講読Ⅰ・Ⅱ
新約原典講読Ⅰ・Ⅱ(前後期各2単位) 吉田 忍(1~4)

<講義の概略>

ギリシャ語文法単位取得者が対象です。
新約聖書原典を主に文法の観点から、必要に応じて新共同訳や聖書協会共同訳、岩波訳、フランシスコ会訳、新改訳、田川訳などを参照しつつ、丁寧に読み進めます。出席者は既存の訳を参照しても構いませんが、自分なりの訳文を予習の段階できちんと作成する必要があります。
講読テクストは受講者と相談して決定します。

<教科書>

Nestle-Aland, Novum Testamentum Graece (Stuttgart, Deutsche Bibelgesellschaft, 28. rev. Aufl., 2012

<参考書>

大貫隆『新約聖書ギリシア語入門』岩波書店、2004年
D. B. Wallace, Greek Grammar Beyond the Basics, Grand Rapids:Zondervan, 1996
織田昭『新約聖書ギリシア語小辞典』教文館、2002年

語学/アジア諸語(中国語)
アジア諸語(中国語)(4単位) 桐藤 薫(1〜4)

<講義の概略>

中国語未習の学生を対象とした入門レベルの中国語講義です。中国語の発音の基本となるピンイン(拼音、中国式ローマ字)と発音の仕方、さらに文字(簡体字)、基礎的な文法・文型、単語・表現などを学び、簡単な文章や会話が理解できるように練習します。前期の授業期間はオンデマンド授業を行い、発音の基礎と文法事項の習得を目指します。8月下旬の集中講義で文法事項の理解度の確認しながら会話練習を集中的に行います。本講義の到達目標は、①「中国語の発音のしくみを理解し、ピンインを見て発音できる。」②「ピンインで文字(簡体字)が入力できる。」③「中国語の基本構造や入門レベルの文法事項を理解できる。」④「読み書きを中心に、初歩的なやりとりができる。」の四点です。話す・聞く・書く・読むをバランスよく学びながら中国語の基礎習得を目指します。

<教科書>

相原茂、陳淑梅、飯田敦子『日中いぶこみ交差点』朝日出版社、2017年

<参考書>

相原茂、石田知子、戸沼市子『Why?にこたえる はじめての中国語の文法書』(新訂版)同学社、2016年

語学/英書講読Ⅰ・Ⅱ
英書講読Ⅰ・Ⅱ(前後期各2単位)吉田 忍(1〜4)

<講義の概略>

キリスト教に関連する英語書籍を講読します。テクストは受講者と相談して決定します。出席者は十分な予習及び復習が必要となります。

<教科書>

受講者の習熟度に応じて決定します。

<参考書>

授業中に指示します。

農業実習/農業実習Ⅰ・Ⅱ
農業実習Ⅰ・Ⅱ(各8単位) 池迫 直人(1〜2)

<実習の概略>

履修者と相談して、内容を組み立てます。
年間をとおして、変化する環境全体と農のいとなみを関連付けて理解できるようにうながします。
出席と積極性を評価の基準とします。

農業実習Ⅲ[アジア学院にて]
農業実習Ⅲ(8単位)[アジア学院にて](3〜4)

夏季に3週間、アジア学院に委託して行われます。生活全般が農の営みに根ざす経験を通して、農を体験的に理解する実習です。猛暑の中での労働、言語外のコミュニケーション能力、実践的な英語能力が求められるので、希望者の適性を担当者が考慮したうえで推薦を受ける場合にのみ、受講ができます。
なお、英語の実践力は判断の基準ではなく相手を理解したい、大切なことを伝えたい、人とつながりたいという心理的な側面が重視されます。体力的にあまり自信のない方でも長期間にわたる日常からの準備があれば、可能となりえますので、詳細は担当者にお尋ねください。

教会・社会実習/寿現場学習
寿現場学習(8単位)  汀 なるみ(3~4)

<講義の概略>

日本四大寄せ場のひとつと言われる横浜寿地区、時代の変遷により社会の要請のはてに労働者の町として形成され、現在は「福祉ニーズの高い町」といわれているが、その実情は障がい・疾患・他困難を抱える事情から一般社会で生きにくくされた「人」が多く住まう町ともいえる。開発繁栄した都市横浜のすぐとなりに横たわる「社会が抱える問題が重積した地区」において困難を担わされ、その全人的苦痛の中で生きた人々と連帯を願い行動する人々の軌跡を今もつづく現場で体験し、自身と「人間」に出会い直す機会を目標とする。
実習活動として、定期では毎週金曜日に炊き出しの参加がある。他に野宿者訪問活動、定期活動以外は寿地区の支援団体及び行政施設の訪問、町や野宿経験をされた方からお話を伺う。
寿地区で炊き出しが始まったのが1993年。2021年9月~2022年8月までの29次寿炊き出しの会報告集によると、合計19,591食/平均445食であった。なぜこの地で始まり続いているのか、「いのちを守る活動」として雨風厳しい日はもとより、このコロナ過でも続いているのはなぜか。問われていることを歴史からの記録だけでなく感じ考え出会いを見出したい。また、野宿者訪問活動も1984年から始まり同様に数字だけでなく町に出てその重みを共に感じたい。
その他に、地域自治や活動として夏祭り・寿越冬闘争・冬祭りなどがあり年間を通して寿地区の今を体験し実習とする。

<教科書>

なし

<参考図書>

『現代キリスト教倫理3 日本に生きる』日本基督教団出版局
『釜ヶ崎と福音』本田 哲郎著/岩波書店
『寿町保健婦日記』渡部 幸子著/日本放送出版協会
『いのちの灯ともす-寿地区センター10年の講演記録集』日本基督教団神奈川教区寿地区センター
『いのちの灯ともしつづけて 寿地区センター30年の記録』日本基督教団神奈川教区寿地区センター
『いのちの灯消さない―寿地区センター20年―』日本基督教団神奈川教区寿地区センター
『寿で暮す人々あれこれ』村田由夫著/神奈川県匡済会
『第29次炊き出し報告集』寿炊き出しの会
『女性ホームレスとして生きる―貧困と排除の社会学』丸山 里美著/世界思想社
『ニューロダイバーシティの教科書』村中 直人著/金子書房
その他

教会・社会実習/台湾実習
台湾実習(8単位)(3〜4)

<玉山神学院での実習>(2023年度に予定)

・この実習は「教会実習」または「社会実習」のどちらの実習としてもよい。
・派遣学生の選定は、教師会での協議を経て、校長が決定する。
1. 期間:約一ヶ月
2. 費用:成田から台北までの往復旅費は学校が負担する。成田までの往復旅費は本人が負担する。台湾滞在中の諸費用は玉山神学院が負担する。
3. 玉山側の受け入れ人数:2名
4. 内容
ⅰ.台湾や台湾教会の歴史と状況を学び、宣教のあり方を考える。
特に、先住民族の問題に注目し、出会いの中での学びに重きを置く。
ⅱ.玉山神学院の学生との交流を行う。
ⅲ.授業に参加する。
ⅳ.先住民族の教会を訪ね、滞在し、教会活動に参加する。
ⅴ.日本による植民地時代などの歴史、現代の台湾が直面する問題をも学ぶ。
ⅵ.何回か説教を担当する。

<農村伝道神学校での実習>(2024年度に予定)

1.期間:約一ヶ月
2.費用:台北から成田までの往復旅費は玉山が負担する。日本滞在中の諸費用は農村伝道神学校が負担する。
3.農伝側の受け入れ人数:2名
4.内容
ⅰ.日本や教団の教会の歴史と状況を学び、宣教のあり方を考える。
特に、アイヌ民族の問題に注目し、多くの教会との出会いの場を設け、台湾先住民
の課題を共有する。
ⅱ.農伝の学生との交流を行う。
ⅲ.アイヌ民族との出会いと交流の場を設ける。
ⅳ.日本の状況と、さまざまな宣教の取り組みを学ぶ。
ⅴ.農業実習などの授業に参加する。
ⅵ.何回か説教する。

論文及び研究活動

卒業論文(8単位) 教 師(4)

卒業研究(8単位) 教 師(4)